2017年11月24日

『割烹あらかると』

6277.png『割烹あらかると』

著者:柴田書店編
発行年月:2017年12月1日
判型:B5変型判 頁数:296頁



 取材をさせていただいた10店に共通することは、自分のやりたいことが明確で、それに真っ直ぐに向かって仕事をしているということ(自分の店を出すわけだから当然といえば当然ですが)。
 店主のみなさんはこれまでいろいろな経験をなさって今に至っているわけですから、当然なのかもしれませんが、これをぶれずに押し進めるって、かなりすごいことだと思うわけです。

06277_004.png 修業時代には、すでに将来独立する店の厨房の細部の設計図ができ上がっていた。
こうして働きやすさを優先した理想の厨房をつくり上げた(星火)。

 そしてもう一つの共通点はカウンター仕事であること。お客さまの顔を見て、話をし、求めるものを察して、おいしい料理を出す。お客さまの心を推し量るのはとてもむずかしい技術ですが、これができる店がリピーターを増やし、長く長く愛される店になっていくのではないかと...。

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 そんなことを思いながら、今回も楽しく取材をさせていただきました。ありがとうございました。

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投稿者 webmaster : 12:50 | Permalink | カテゴリー:日本料理

2017年10月23日

『鮨のすべて』

6276.jpg『鮨のすべて』

著者:今田 洋輔
発行年月:2017年10月27日
判型:B5変上製 頁数:287頁



 久兵衛の撮影は毎回8時スタートです。遅刻してはいけないと、前日の夜は緊張しっぱなしでした。
 魚の水洗いからサク取りの工程は店長の二川敏勝氏、切りつけから握りまでの工程は主人の今田洋輔氏が担当。同じ魚でも、割烹や和食店とは仕入れの基準が違います。廃棄率が高くならないように、ネタの大きさを考えて魚のサイズを選び、仕込みをします。


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6276_1.jpg 圧巻は玉子焼きでした。最近までは炭火で焼いていたそうです。今は上火のサラマンダー。毎日230個のLサイズの卵を使って30枚の玉子焼きを焼きます。ふんわりと黄色くて甘いにおいのする玉子焼きは、その日のうちに都内各店に配送して使いきるそうです。


6276_2.jpg シャリ切りや煮物などは入社2―3年の若い職人さんたちの仕事です。1人前の職人を目指してみなさん、がんばって!

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投稿者 webmaster : 12:30 | Permalink

2017年09月05日

『「イデミ スギノ」進化する菓子』

06267_2.png『「イデミ スギノ」進化する菓子』

著者:杉野 英実
発行年月:2017年9月9日
判型:A4変上製 頁数:376頁

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06267_6.png 杉野さんのお菓子といえばムース。そして繊細な素材感の表現です。ゆえに当初は本のタイトルを前著『素材より素材らしく』から発展させたものするつもりで考えていました。
 しかし、撮影して食べ、取材して原稿を書きはじめると、神戸時代とは驚くほどお菓子が変わっているのに気づきました。前取材もしていましたが、やはり聞くと見るでは大違いでした。


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 一番顕著なのはバタークリームのケーキです。もうこれは食べてすぐにわかります。バタークリームとは思えないほど軽いし、ジュレを挟んでいてフルーティです。ジュレをバタークリームに重ねるのは簡単ではありません。滑りやすいからです。滑らないようにするためのちょっとした工夫は、日々の厨房での仕事の積み重ねで生み出されてきました。


 かつて生地の種類もアーモンドのビスキュイ、ピスタチオ風味、コーヒー風味、チョコレート風味と限られていました。だから基本頁を参照すればこと足りたのです。しかし、その基本の生地は増えていました。ハーブソースを加えたもの、ドライフルーツを散らしたもの、そしておそらく見たことがなかったピュレ入りも加わりました。さらにピュレ入りにドライフルーツを散らした生地もあったりします。
 飾りに使うパーツなども『素材より素材らしく』の時よりははるかに多く、基本の技術の頁数は実に予定していた頁数の2倍となりました。


 なぜそんなに基本の生地やパーツ、クリームが増えていったのでしょうか。
 それは、めざすおいしさにたどり着こうと新しい味づくりを試し続けて、使うパーツを加えてきたからでした。
 ピュレ入りの生地はクリスマスケーキのアントルメを考えている時に生まれます。コーヒー風味のチョコレートのタルトレットにのせたクレーム・シャンティイにコーヒーを加えてみたら「カプチーノのような味わいになった」と発見し、カプチーノが完成にいたります。初めは清涼感を加えたいとムースに入れていたジュレを、ソース感覚でマカロンにも入れてみたらフレッシュ感が増した発見。一方、グレープフルーツ風味のパウンドケーキには、特有の苦味と甘みを加えたいと飾り用のグレープフルーツのコンフィのみじん切りを乾燥焼きして使ってみて、グレープフルーツ感が際立つことを知ります。

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 こうしておいしい味を求め、日々厨房でつくっては食べて感じ、考えることで杉野さんのお菓子は少しずつ変化してきました。いや、進化してきたのです。モノマネではなく、おいしさだけを求めてきた結果でした。
 これはもう、素材がどうとかではなくて、杉野さんのおいしさを求める日々の仕事によってお菓子が進化してきたとしか言いようがありません。
 技術もパーツもプラスして、新しい生地もおいしい新しいケーキも生まれます。

 そして、本のタイトルはこれしかないという「進化する菓子」になりました。

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投稿者 webmaster : 16:50 | Permalink | カテゴリー:製菓