「スパイスカレー」の発案者として知られる水野仁輔氏。その水野氏が、ついにまったく新しいカレーを考案し、ここに提案します!
そのカレーこそが「クラッシュカレー」で、「ルウカレー」「スパイスカレー」に次ぐ、カレーの新しい第3のメソッド。ベースとなる食材を石臼でクラッシュする(潰す)ことで、これまでに経験したことのない、フレッシュで鮮烈な香りが得られます。従来のカレーの世界には存在しなかったフレッシュ&軽快さを軸にしたカレーの新メソッドを、50品のレシピとともに収録しました!
「クラッシュカレーをつくりたい! でも石臼はない……」そう思ったあなたは本書P18-19「石臼がなくてもつくれます」を一読ください!
【以下、本文より抜粋】
クラッシュカレーとはなにか
香りの王様。カレーほど香りを重層的に楽しめる料理はほかにないだろう。
これまで手を尽くして香りと向き合ってきたはずのカレーの世界に黒船が到来した。石臼という新しい武器を持って。名を「クラッシュカレー」という。ちょっと野蛮な匂いがする。なぜかってこのクラッシュカレーというのは、香りのいい素材を片っ端から叩き潰した末に生まれるカレーだからだ。あまりの香り高さに僕はすっかり夢中になっている。
ゲーン*の分解再構築を繰り返し、独自の素材や調理技術を組み込んだ結果、クラッシュカレーを完成させることができた。叩き潰したペーストは愛おしく、なでなでしているうちに美しい球体になり、さらに愛着が沸く。僕はこのペーストを「香り玉」と名付けることにした。香りの塊。花火玉のようなものである。
香りの花火は鍋中全体に広がり、僕は夏祭りの夜空を見上げるかのように酔いしれる。そんな感動をみなさんにもぜひ届けたいと思う。
*タイの煮物料理の一部の総称



