志摩観光ホテルの現総料理長による料理本。
同ホテルといえば1980年代に「海の幸フランス料理」で一世を風靡して以来、全国の美食家の舌を捉え続けてきたことで知られます。その遺産を継承する現総料理長が、「伊勢志摩ガストロノミーの現在形」を公開。伝統コンテンツをいかに深化・進化させるか。移りゆく自然の今をいかにとらえて料理へと昇華させるか――その想いを込めた料理79品を紹介します。
伊勢志摩の新たな食材の開拓、自然と人との繋がり、継承と創作をめぐる思索、美しい自然に囲まれたリゾートホテルならではの取り組みなどを料理写真とレシピ、テクニカルノート、エッセイを通して丁寧に綴ります。
食材に関する技術解説も充実。とくに、日々【伊勢海老】と【鮑】を使い、探求を重ねてこその調理解説は必見です。古典フランス料理をベースにした「海の幸フランス料理」の味わいの本質、伊勢志摩のさまざまな食材の個性の活かし方についても、詳細なレシピとともに解説します。
Chapter1 海のリズムにゆだねる
Chapter2 伊勢海老
Chapter3 鮑
Chapter4 大地の声を聴く
Chapter5 伝統を未来に
その遺産を引き継ぎ、さらに新たな伝統を重ねているのが樋口総料理長です。シマカンならではの贅沢な技術の蓄積、食材への洞察が必見であるのはもちろん、現代料理における「ローカル」の意味と課題を見つめるリアルな視点は、ガストロノミー最前線を知る貴重な手がかりとなるはずです。