« 『専門料理2013年8月号』 編集後記より | TOPページへ | 料理本のソムリエ [vol.58] »

2013年08月01日

日本料理の基礎 『刺身と醤油の本』

06171.jpg『刺身と醤油の本』
柴田書店 『日本料理の四季』 編集部編
発行年月:2013年8月1日
判型:B5 頁数:108頁

80796.jpg 28年間にわたってご愛読いただきました別冊 『日本料理の四季』は、昨年の43号をもって、惜しまれつつもひとまず幕を閉じました。裏事情を申しますと、会社側は42号で終えるつもりだったのですが、「とんでもない、まだ1冊は作れるし、勝手にやめては読者に対する背信行為」と、43号は半ば強要するような形で編集、発売に踏み切ったものです。

 それでも案の定、きちんと挨拶をのせて終刊したのにも関わらず、専門料理編集部には「なぜ今年は『日本料理の四季』が出ないのだ」と苦情の電話がかかって参ります。
『日本料理の四季』は月刊専門料理に掲載されました日本料理特集や記事を再録する形で作られておりました。ところが昨今、本誌に日本料理特集を載せたからといってとくに売れ行きが伸びない。売れないと載せなくなる、載せた記事がなくなると別冊が作れない、というわけで源泉が枯渇したのが終刊の原因です。

 とは申しましても、このまま手をこまねているわけにはまいりません。日本料理のみを正面から取り上げた、全国書店で販売する定期刊行物を持つ出版社は小社以外にありません。ちまたではやれミシュランだ、やれクールジャパンだと外野の掛け声ばかり威勢がよろしいようですが、肝心の作り手の創造力がやせ細るようなことがあってはなりません。

 日本料理を盛り立てようと、『日本料理の四季』に代わるものとして始めましたのが、この『日本料理の基礎シリーズ』です。献立の各ジャンルと調味料、それぞれひとつずつにスポットをあてて、必要な技術や知識、料理例をまとめております。


06171_2.jpg06171_1.jpg


「日本料理の“基礎”なんだろう? 俺たちは基礎なんかとっくに卒業したからさ」なんて思ったあなた。基礎はいつになっても大事なものですよ。本書は今さらちょっと聞きづらいような基礎中の基礎にも真正面から向き合う反面、料理長クラスの方にも満足いただけるよう充実した数の料理例を掲載したつもりです。関東と関西の両方の仕事を載せ、世代もベテラン中のベテランはもちろん脂ののった若い料理長にも登場願うなど、できるだけ広い範囲をカバーするよう配慮しております。

 第1巻めは「刺身」とそれにかかせない「醤油」がテーマ。加熱調理をともなわない(湯霜や焼き霜は別ですが)刺身は、包丁の冴えが命という側面があります。そこで、刺身の引き方やつまの作り方(よりニンジンやいかりボウフウの作り方なんて、正面きって取り上げた機会は少ないから貴重な情報ですよ)のほかにも、包丁の図鑑や産地ルポも載せました。けっして「かん袋」や「けし餅」が食べてみたくて堺市に行ったわけではありません。

醤油の章でも天然醸造の蔵元を訪ねたほか、開封して空気に触れるとどのように色が変わるのかミニ実験を実施しました。包丁も醤油も、さらにつきつめればそれだけで本が1冊作れるテーマでありまして、本書ではあくまでもさわりではありますが…。

 単行本ですので年1回4月刊行というわけには参りませんが、できれば春と秋の年2冊くらいずつのペースで、今後、さらにシリーズの巻数を重ねていきたいと考えております。とはいえ、それもこれもお客さまの支持次第。どうか『日本料理の四季』の弟分として、こちらもご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

柴田書店Topページへ

投稿者 webmaster : 2013年08月01日 16:00