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2013年01月11日

『天ぷらの全仕事』

06162.jpg『天ぷらの全仕事』
著者:近藤文夫
発行年月:2013年1月17日
判型:B5変 頁数:232頁

 天ぷらは高カロリーでおなかにもたれる、などという先入観はみごとに打ち砕かれます。とにかく軽くて食べやすく、素材の味をぐっと引き出す揚げ方は、それは見事なものです。
NHKの某テレビ番組で近藤さんが揚げた天ぷらと、家庭の天ぷらのカロリーを比べたことがあるそうです。
なんと、倍以上の違いがあったそうですよ。
まさに油の魔術師です!


06126_1.jpg とにかく素材の持ち味を最高に生かす揚げ方にかけては、天下一品です。
近藤さんのさつまいもの天ぷらはあまりにも有名ですね。
今ではあちこちの店で見かけるようになりましたが、最初に考案したのは近藤さんです。「焼き芋のおいしさに比べて、さつまいもの天ぷらはどうしておいしくないのだろう」と考え、来る日も来る日も試作に明け暮れ、焼き芋のような美味しさを余熱を利用して実現しました。
圧巻の一品です。


06126_2.jpg また、営業中、近藤さんはカウンターの15名のお客様に最もよい状態で天ぷらを提供するために揚げ鍋を2つ使っています。15名の天ぷらを次々と揚げていくのに、1つの鍋では適温を保つのがむずかしいからです。天種を揚げる順番、揚げ時間、2つの鍋の移動、お客様に合わせた提供など、同時に行なわなければならないさまざまな作業を、手早く無駄のない動作でこなしていく近藤さんの姿は、思わず箸をとめて見とれてしまうほどです。


 近藤さんの長年にわたる修業で磨かれた技術、新しい素材への研究心とチャレンジ精神が詰まった1冊です。
どうぞご覧ください。

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投稿者 webmaster : 2013年01月11日 11:45