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2013年02月14日

『焼く』  日本料理 素材別炭火焼の技法

06163.jpg『焼く』 ― 日本料理 素材別炭火焼きの技法 ―
著者:奥田 透
発行年月:2013年2月15日
判型:B5変 頁数:184頁


初回撮影は、忘れもしない、おととし(2011年)のクリスマスだった。
まだ「銀座小十」が現在のビルに移転する前で、厨房が手狭なため、「銀座奥田」の厨房で始まった。
朝10時集合。休業日にもかかわらず焼き台の前には、「小十」と「奥田」のスタッフが勢ぞろいした。みな真剣だ。

06163_1.jpgまず「幽庵地にはどれくらいつけるべきか」といった普段の仕事の検証から始めた。1時間おいたもの、1時間半おいたもの、2時間おいたもの。それぞれを同じように焼いて、食べ比べる。こうして適正のつけ時間を確認していった。


06163_3.jpg焼いている途中で、奥田さんが「火加減を1から10までの数字に当てはめよう」と提案。取材する未熟な私にわかりすいようにと、考えてくださったことである。これは私にとって非常に理解しやすかった。焼く側も徐々になれてきて、なぜこの火加減にするのかを、細かく解説しながら焼いてくださった。これがのちのち、原稿に反映され、読者のみなさんにも伝わることになったのだ。


06163_2.jpg火加減を調節するということは、炭のおこし方だけで決まるものではない。炭の積み上げ方、積み上げる位置、炭に灰をかぶせるか否か。さまざまな火加減のし方があるということをここで、はじめて知った。
焼き台がよく見えるようにと、用意していただいた踏み台にのって、熱い炭火のそばでノートをとった。炭の赤色がわかるようにと、ストロボを立てずに撮影を進めたが、炭火の温度は相当なもので、焼き台の上につけた撮影用の電球が熱で溶けてゆがんでしまったほど。カメラマンの大山さんは、私以上に熱かったに違いない。


焼き上がりの写真を撮り終え、試食の時間。ほんとうに旨い。この至福のときが待っているのだから、どんな灼熱の焼き台であっても、我慢は容易いことだ。本書に載っている魚介や肉や野菜は、すべて試食した。仕事とはいえ、2度と得られない経験だろう。
読者のみなさんに、はたして美味しさを伝えることができただろうか。


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投稿者 webmaster : 2013年02月14日 10:06