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2012年03月08日

『津田陽子の100のおやつ』

06134.jpg『津田陽子の100のおやつ』
著者:津田陽子
発行年月:2012年2月27日
判型:B5変 頁数:144頁

「おやつ」にもう一度立ち返りたい

06134_6.jpg京都と東京でお菓子教室と焼き菓子を販売するお店を主宰するかたわら、これまで『くるくるロールケーキ』『さくさくクッキー』(文化出版局)、『タルト』(リトル・モア)など本もたくさん出している津田陽子さん。弊社でも『カフェ・スイーツ』にたびたび登場していただいています。

そんな津田さんとこのたび「本を作りましょう」となり、
初めての打合せで津田さんの口から出てきたのは少し意外な言葉でした。

「いま、私が作りたいのは“おやつ”の本。
 できるだけシンプルでやさしい雰囲気の、家で毎日作りたくなるような。
 本を開いた時に“明日これ作ってみよう!”とワクワクするような……」

津田さんのこれまでの本とは少し違う方向性に、正直ちょっと驚きつつも
(実は、こちらは別の企画書を用意していました)

「フランスにはパティスリーもブーランジュリーのお菓子もあるけど、
 お母さんが家でお菓子を作る習慣もしっかり根付いているでしょう?
 そういう“おうちのお菓子”をもう一度見直す時期だと思う。
 私自身、お母さんが作る“おやつ”で育ってきた人間。
 おやつが持っている“やさしさ”みたいなものをみんな求めていると思うし、
 そこに立ち返るような本が作れたら……」

そして
「あと、ルセットが100品載ってるお菓子の本を作りたい!」

という津田さんの言葉に思わず引き込まれてコンセプトが決定。
【どういうラインアップにしたら、写真にしたら、デザインにしたら、レシピの
 書き方にしたら、ずっとそばに置いておきたくなるような本になるだろう?】
何度も津田さんとアイデアを出し合いながら本作りを進めました。
(内容については『津田陽子の100のおやつ』のページをご覧ください!)

この本は津田さんと担当者(私です)で私物を持ち寄って撮影しました。
その際、ロールケーキやケイクについフォークを添えようとする私を見ては
「私なら手で食べるけどなぁ。おやつやし」と津田さんのダメ出し。
手で持って食べるから生地の温度やきめ細かさ、ふんわり感が伝わる――。
そういうわけで、すくって食べる一部のお菓子以外はフォークもスプーンも
添えていません。撮影したパンケーキもタルトも全部手でいただきました!

06134_1.jpgこの本が発売になって気づいたこと。
それは、手にとってくださった人が全員、
まず「おいしい水のゼリー」(p126)の不思議さに目を奪われるらしいのです。
たしかに、私も最初に「水のゼリーっていうのがあんねんけど」と言われた時は驚きました。
でもこれが、なんともいい味わいなのです。
イメージは某お菓子会社の「ドロ〇ッチ」とか!
実際に「ミディ・アプレミディ」のサロンでは、もう少しゆるく固めたものをコーヒーと一緒に出しているそうです。

本のまえがきやあとがきに津田さんが書いているように、
いまやおやつは子供のものではなく、大人にこそ必要なのでは?という時代。
私自身、食べてほっとひと息つくおやつの時間は欠かせません。
また、最近はスイーツ男子なる言葉があったり、
実際にお菓子を作る男性も増えているといいます。
そこで、ラインアップはそんなお菓子好きな人たちが心躍るものは?と考え、
「メレンゲ山椒」や「カレーとチーズのサブレ」「グジェール」など
おつまみにもなるおやつも盛り込みました。

100個のおやつの中には、少し手のこんだものもありますが、
お菓子に興味がある人であれば作りやすいものがほとんど。
ぜひおやつを食べるのはもちろん、「作る楽しさ」も味わってみてください。


06134_4.jpg◎メレンゲ山椒

甘いメレンゲに山椒が香る、
大人のおやつ

06134_2.jpg◎カレーとチーズのサブレ

ほんのりはちみつの甘みが
カレーとチーズの風味を
引き立てます!

06134_3.jpg◎グジェール

もっちり、しっとり。
おつまみにもなる塩味のシュー


06134_5.jpg

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投稿者 webmaster : 2012年03月08日 15:44