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2011年07月26日

『イタリア料理 トラットリーアの定番料理』 編集担当者より♪

06119.jpg『イタリア料理 トラットリーアの定番料理』
著者:小林幸司
発行年月:2011年7月27日
判型:AB 頁数:184頁


延べ2年近くに及ぶ撮影・取材は、本当に楽しく、勉強になるものでした。
厨房でのシェフの一挙手一投足に、いちいち質問を投げかける編集者に、
小林シェフはイヤな顔一つせず、質問のさらに上をいくような細かさで、
納得の回答をしてくださいます。

「そんなことまでイチイチ聞くな」
「そのへんは適当に判断せよ」
「いつもそうしているから」といった言葉は、
シェフの口から一度も発せられませんでした。
作業や動きの一つ一つ、タイミングの一つ一つに、すべてきちんとした理由があり、
その積み重ねがあってこそこれだけのおいしさが生まれるのだということが、
シェフを見ているとよくわかります。

その結果生まれたのが本書です。
そして、撮影・取材前後のお楽しみは(時には真っ最中にも?)
下手なお笑い芸人よりもずっとずっとおもしろいシェフのトークでした。

撮影で食べさせていただいたお料理は、
もちろん、すべからくおいしいものだったのですが、
その中には「さすが小林シェフ!」とうなるほど、
思わず涙するほどおいしい絶品もいくつかありました。
以下、編集者の独断と偏見でいくつかご紹介しましょう。


06119_1.jpg◎カポナータ

そんじょそこらのカポナータと一番違うのは、圧倒的な味の凝縮感です。本書で紹介したのは、ナスやズッキーネ、ピーマンなどの野菜をオーブンで焼いて余分な水分を飛ばし、別に煮つめて用意したトマトソースと層にして重ね、蓋をしてオーブンで煮込む方法です。最後に蓋をはずして蒸し焼きにすることも大事なポイントで、残った水分が飛んで力強い味に仕上がるのと同時に、表面の一部がカラメル化することで甘みが増します。野菜の下処理は揚げたり炒めたりする方法もあり、そちらのほうが一般的ですが、ここではローストにしていますので、濃厚ながら、さっぱりした仕上がりになっています。少々時間はかかりますが、ほどよく冷やせば、夏の最高の前菜です。


06119_2.jpg◎スパゲッティ・カルボナーラ

牛乳や生クリームを使わず、卵だけで作る本来のカルボナーラです。とろっとした透明感のある卵のソースが、ねっとりと麺にまとわりついたおいしさは何とも言えません。火が入りすぎず、けっして生でもない、卵への最適な火入れが欠かせません。大切なのは素材の温度管理で、卵はもちろんのこと、卵と合わせるチーズ(パルミジャーノ、ペコリーノ)も、冷蔵庫から出したら必ず室温にもどしてから使います。そして卵液を合わせたボウルのほうに、炒めたグワンチャーレ(またはパンチェッタ)を加え混ぜ、さらにゆでたスパゲッティを加えて、手早く混ぜ合わせます。卵液を火にかけたり、火にかけたフライパンに(火は消していても)卵液を加えるのはNG。そうして盛りつけた後に、黒コショウを挽いて出来上がりです。「カルボナーラって卵のおいしさを味わう料理だったんだ」と改めて実感する一品です。


その他、ジェノヴァ・ペーストのリングイーネやブカティーニのアマトリチャーナ、
リボッリータ、イワシのベッカフィーク、ジャガイモのコントルノなどなど……、
挙げていくとキリがなさそうなので、あとは本書をじっくりご覧ください。


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投稿者 webmaster : 2011年07月26日 11:43