そばうどん2021
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山せ隠岐国立公園に属する蒜山高原の東部に位東京都世田谷区の豪徳寺で「超」がつく繁盛そば店「あめこや」を営んでいた上田善宗氏。新たな拠点は標高1118mの津つ黒ぐ山せを主峰に700~1000m級の山々に囲まれた田園地帯の真ん中にあった。この地区は2005年に5町と4村が合併して蒜ひ山ぜ下しお和となったが、上田氏は親しみを込めて合併前の旧名である中ち和村と呼ぶ。取材は2020年12月中旬で、積雪は深いところで約60㎝。西日本有数の豪雪地域であるこの地をどうやって知ったのか。「農薬と肥料を使わずにコメなどを作る高谷裕治さん・絵里香さんご夫婦との出会いがきっかけです。高谷さんたちは11年頃に千葉から移住して、『蒜山耕こ藝げ』という屋号を掲げて農業を営んでおられます。彼らの自然と同調した生き方に感銘を受けて、それで中和村へ通うようになったんです」それにしても中和村は不便なところだ。大だ置するとはいえ、観光地は20㎞ほど西側のことで近隣にはコンビニもない。最寄り駅のJR姫新線・中国勝山駅までは約30㎞離れており、そこから主要ターミナル駅の岡山駅までは電車で2時間半以上かかる。近くを走る国道482号線を4㎞北へ行けばもう鳥取県で、車で30分も走れば日本海だ。上田氏はあめこや時代から、この中和村と東京・世田谷を車で何度も行き来したという。ノンストップで約9時間の道のり。「車の運転は好きなほう」と言うものの、容易なことではない。ゅうかそん いんういるんた ろん2019年9月まで東京・世田谷で営んでいた「あめこや」で提供していたそばや店の様子。全国20以上の産地から原料を仕入れ、自家製粉して十割そばを打っていた。産地や品種の異なる2種の原料を使った「2種もりそば」(右上の写真)は一番人気のメニュー。「白子と聖護院大根のグラタン」「赤身馬刺しと黄ニラの醤油漬け」「子持ち鮎のコンフィ」といった一品料理を80品以上、日本酒8~9種と数種のワインも提供し、連日大盛況だった。035

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