そばうどん2019
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❷❸千葉・船橋にあった「中山一茶庵」(閉店)を手打ちの名店に育てた齋藤親義氏が1989年、富士山の裾野の雑木林の中に、築400年を超える庄屋屋敷を移築して開店した。自家製粉のそばはもとより、そば料理や合鴨料理、季節の野菜料理にも定評がある。齋藤親義氏がそば料理に取り組みはじめたのは千葉・船橋の「中山一茶庵」(閉店)時代。すでに40年余りさかのぼるが、その考え方の基本は、「そば屋でいつも使う食材を工夫すること」と、明快で一貫している。 「伝統的なそば屋の仕事だけでは飽き足らなかったというか、そば粉や丸抜きをもっといろいろな形で利用できないか、と考えるようになったんです」ただし、いたずらにアイデアに走るのはよしとしない。あくまでそば店としてあるべき仕事として発想する。限られた素材ではあるが、ちょっとした工夫を加えることで新たな風味や味わいが生まれる。そこに作り手としてのおもしろさもあるという。たとえば、75ページの「そば丸」。そば餅は古くから農山村で親しまれてきた伝統食だが、そばがきの生地にユズや大葉、炒りゴマなどを練り込むことで、本来の素朴な味わいを生かしながらそば料理としての完成度を高めている。 「私の中では、そば料理もそば切りと同じ流れの中にあるんです」そば店の仕事という範疇の中で、   基本の素材であるソバをいかに生かしきるか。齋藤氏の仕事はその一点に集約される。きょうざんぼう072せいろ用の並粉のそばがきを直火であぶる。田楽味噌の味は、春はフキ味噌、夏はショウガ味噌、秋・冬は山椒味噌と季節で変える。そば串❶大きな長柄杓にそば粉(並粉)120gとそば湯を適量入れ、ゆで釜で湯煎しながら、表面に照りが出て触っても手にくっつかなくなるまで練り上げる。小判形に整えて、焼き網に載せて直火で焼く。両面に焦げ目がついたら竹串を刺し、ゆるめに練った田楽味噌を塗り、炒った丸抜きを散らす。住所/静岡県裾野市須山1737電話/055-998-0170URL/http://www.kyozanbo.com営業時間/11:30~夕時 そばがなくなり次第終了     (夜の営業はコース[4名上]の予約のみ)定休日/月曜、火曜店舗規模/60坪40席開業/1989年5月15日そば串

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