Pâtissier
5/17

※6分後送で検出された化合物(No.3)の量がとびぬけて多いため、10分の時点で区切り、それぞれ化合物の量に合わせて全体のサイズを変えた。すいにおい物質は最初にパッと広がり、重くてとびにくい物質はあとまで残る。におい物質がとべもう1つは、空気や光にさらされば、そのぶん香りも失われます。寺井 東原 西野 発酵バターとかね。東原 〝香りが落ちる〟メカニズムが、僕としてはそれ以上に、よいね。レストランではつくりたてのを科学的に説明することはできます。1つは、香りがとんでしまう類以上のにおい物質で構成されてに違いがあります。軽くてとびや香りをいかに残し、長く持続させるかということに興味があります香りをそのまま皿の上で表現できますが、菓子屋ではそうはいきません。時間が経てば香りが落ちていくのはわかりますが、それがどれくらいの期間は維持できて、どれくらいの期間で落ちるのか、知りたいと思っていました。ということ。1つの香りは数百種いて、それぞれ香りのとびやすさることで起こる酸化反応。とくにものが酸化してにおいも変わっていきます。ただ、これは悪いことばかりではなく、ものによっては少し酸化が進んだほうがよいにおいになる場合もあります。香りの変化もわかりやすいです。菓子は脂質が多いので、そういう素材だよね。感覚のなかで、嫌なそうですね。あとはナッツのナッツは菓子屋がよく使う92ヵ月後1ヵ月後2ヵ月後1ヵ月後7日後3日後7日後3日後*データベースで検索した結果スペイン産マルコナ種のアーモンドを使用。「エーグルドゥース」の170℃のコンベクションオーブンで15分焼成後、フードプロセッサーにかけてペースト状にした。これを小瓶に入れ、吸着剤を挿入してにおいを捕集。保管は、ふたをして4℃の冷蔵庫に静置する。製造の当日、3日後、7日後、1ヵ月後、2ヵ月後に、「ガスクロマトグラフィー質量分析計」を用いて、それぞれの時点のペーストから発せられる化合物を調べた。また、初日と2ヵ月後のペーストは、「におい嗅ぎガスクロマトグラフィー」を用いてスニッフィング*を実施。この器械に吸着剤を入れると、器械の中で50〜250℃の熱が徐々に加えられ、アーモンドペーストに含まれるにおい物質が分離される仕組みだ。* 匂いを実際に嗅ぐこと。《グラフと表の見方》「ガスクロマトグラフィー質量分析計」でアーモンドペーストから検出された約70個の化合物(揮発性物質)のうち、初日〜2ヵ月後のペーストに共通している21個の化合物をピックアップ。表①は、それら化合物の量の変動を示した。数値は、初日の化合物の量を1.0とした相対値。赤が濃くなるほど増加し、青が濃くなるほど減少していることを示す。グラフ①は、それをグラフで可視化したもの。横軸の時間経過とともに現れる化合物の量が見てとれる。グラフ①に示した番号は、表①の左の番号とリンクしている。グラフ②は、スニッフィングをして感じたにおいを書き添えたもの。「+」は感じられたもの、「−」は感じられなかったものを示し、「+」の数が多いほどにおいが強いこと。[表①]アーモンドペーストに含まれるたくさんの香りを器械で分離[グラフ①][グラフ②]アーモンドペーストのスニッフィングアーモンドペーストの経時変化実験①

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る