Pâtissier
12/17

フランス定番菓子温故   知新甘さのコントロールがおいしさの決め手     代後半から70年代前半にもよく見を使いますし、大きく絞って焼いが足りなくなるのが常。フランスフランスで働いていた1960年かけたフランス菓子の定番です。ただ、僕にとっては、〝伝統菓子〟と呼ぶほど古い菓子という感覚はありません。当時のフランスで感じたのは、メレンゲの菓子がすごく多いということ。マカロン、ダックワーズ、シュクセ……皆、メレンゲたメレンゲも売っていました。フランスの菓子屋はどこでも、卵白人はほんとうにメレンゲが大好きです。なかでも、ムラング・シャンティイにも使われるフレンチメレンゲは、ほろっとくずれる、はかなムラング・シャンティイは、僕がもアイスクリームにもよく合いま好きになりました。フランスの空気を吸い、フランスの食べものを食べているうちに、フランスの味覚を自然に受け入れていったということでしょう。代わりにバタークリームを挟んだムラング・シャンティイもありましりませんでした。そもそもムランンチメレンゲは、基本的に卵白にすから、甘みが強い。クリームとのバランスを考えながら、その甘みをどう表現するかが、この菓子でラメリゼされるまで、メレンゲをしっかりと乾燥させながら焼き上げること。しっかりと乾燥焼きしないと、クレーム・シャンティイのてしまいます。さらに、色づかないように白く焼くとキャラメルの苦みが加わらず、甘みが全面に出てしまいがち。これでは、たとえい口あたりが特徴で、クリームにす。メレンゲのおいしさは、日本では未経験のものでしたが、自然と当時はクレーム・シャンティイのた。しかし、僕には甘くて重たくて、とても食べ切れるものではあグ・シャンティイに使われるフレ倍量近くの砂糖を加えてつくりまは重要だと僕は考えています。大切なのは、中心が茶色くキャ水分を吸って、すぐにべちゃっとしアイスクリームには合ったとしてしまいます。サクッと軽いフレンチメレンゲには、やわらかくて軽やかなクレーム・シャンティイがよく合いまべく、キャラメルやダークチョコレートの風味を加えます。どちらかたくて、両方一緒に絞った2色仕立てにしてみました。味はもちろりはっきりとした表情が表現できたかと思います。みを感じるのではなく、その菓子しい風味が甘みより先に出てこなくてはいけません。いろいろな風味のあとから甘みが追いかけてくるから菓子はおいしいのであっその時点でつくり手の負けだと思います。ただ、菓子を形づくり、コクや旨みを出すためには、糖分がらせるものではありません。だかまざまな要素を重ね合わせて甘みをコントロールすること。それがも、クリームには合わなくなってす。僕は味わいにメリハリを出す1種類だけにすることもありますが、今回はちょっと面白みを出しん、色も濃いので、菓子としてよ菓子は甘いもの。それは当然です。ただ、食べたときに最初に甘で主役となるもっとも味わってほて、先に甘みが立ってしまったら、絶対に必要であってやみくもに減ら、糖分を控えるのではなく、さ菓子づくりで重要なことであり、醍醐味だと僕は思うのです。94取材・文/瀬戸理恵子 撮影/合田昌弘[ムラング・シャンティイ❶]Meringue ChantillyKatsuhiko Kawataオーナーシェフ 河田勝彦さん1944年東京都生まれ。「米津月堂」を経て、67年に渡仏。「ポンス」「ポテル・エ・シャボー」「コクラン・エネ」など、パリを中心に計9店で約9年間修業後、ヒルトン・ホテル・ド・パリのシェフパティシエを約1年半務める。帰国後、「かわた菓子研究所」を設立し、81年に東京・尾山台に「オーボンヴュータン」を開業。オーボンヴュータン河田勝彦さんの「ムラング・シャンティイ・キャラメル・ショコラ」

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る