そばうどん2018
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うきは市は福岡県の南東部に位置し、北部には一級河川の筑後川が流れ、南部には耳■納■連山という山地が広がる。「うどん不動庵」は、この耳納連山の麓の自然豊かな町にある。橋梁メーカーを定年退職後に香川県でうどん作りを学んだ吉永利宣氏が、築40年の中古住宅をリフォームして開業。同氏は、「古民家風に改装するのが狙いでした」と話す。しかし、改装には大きな苦労を要した。というのも、購入したのが通称「ツーバイフォー工法」による住宅だったのだ。同工法は面(壁)によって空間を構築するため、後から間取りを変えることがほぼできない。そのため、間取りの変更は断念。「内外装を改装することで、一般的な中古住宅を古民家のように演出しました」。外装で特筆すべきは、店の顔となる入り口の建具だ。築100年超の蔵で使われていた引き戸を取り寄せ、開き戸に作り変えて再利用している。内装では、カウンターの天板をはじめ、棚板、和室の座卓、入り口近くに置いたシューズラックなどをすべて同じ木材で製作。この材はナンヨウザクラで、直径1200㎜×長さ4600㎜の丸太を丸ごと1本で購入した。「カウンターの天板に必要な大きさを購入するのに比べ、1・2倍程度のコストで主な調度を同じ材でカスタムメイドできました」と吉永氏。店内の雰囲気を統一することはもとより、洗練されたトーンを創出することに成功している。130ふどうあん建築秀作選01うどん不動庵 福岡・うきは内外装の改装で「ツーバイフォー工法」の中古住宅を古民家のようにリノベーションカウンター席の目の前の壁にはナンヨウザクラの丸太からむいた皮を貼り、その肌合いを生かした仕上げとしている。「客席から望める窓外の風景が一枚の絵のように見えるように」(吉永氏)と、窓の金属のフレームはナンヨウザクラの材で目隠しを施している。   ■

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