翁達磨 高橋邦弘 そばの旅
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はじめに 6初めてのそば屋「翁」を、昭和五十年に東京・目白に出しました。おかげさまでとても繁盛しましたが、自家製粉に取り組みたくて、六十一年に山梨県の長坂に移りました。山梨では念願通り自家製粉に取り組み、そばの産地も巡り、納得のいくそば粉で打つもりそばだけの店を確立できました。しかしまた店が忙しくなりすぎたこともあって、長坂の店は弟子に譲り、平成十三年に広島県の北部、豊平町に移住しました。新たな店の名は「達磨」としました。店の営業は週末を中心にし、各地にそば会に出かけるのが主になりました。ところが、それでもまた忙しく感じてしまい、広島の店は閉め、二十七年、ここ大分県杵築市に移ってきました。 眼下に海を望む高台に店と住まいを作り、温暖な気候の中で、今度こそマイペースで、そばを打ち、客人を迎えたいという思いでした。 一貫して、自分の好きな、自分が食べておいしいと思ったそばを打ってきました。店の営業時間も勝手に決めてきました。そして、どんどん店は東京から離れてしまい

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