翁達磨 高橋邦弘 そばの旅
15/20

もしれません。 東京・目白に最初の店を開いて、常連さんができてくると、そのお宅でそばをと頼まれることが時々でてきました。あくまでアットホームなものでしたが、僕の「そば会」の芽はそういうなかで生まれていたような気がします。 本格的なそば会のきっかけになったと印象に残っているのが、目白の店の終わり頃に依頼された出張そばの仕事でした。僕の店のわりと近くにお住まいで、よく店にそばを食べに来てくださっていたかたから、家で息子さんの大学入学のお祝いのパーティーをするので、そこでそばを打って欲しいというものでした。友達や親戚が集まる内輪の会で、人数も十数人くらいだったか、そう大勢ではなかったと記憶しています。 ただ、そのときは、まだ他よ所そでそばを打つ体制はできていなかったので、店で打ったそばを持っていき、お宅で茹でてお出しするという形でした。それでもいいと言ってくださったので。 そばとおつゆ、薬味を持参しました。茹でるための釜は、そば専用の釜ではなく普通の鍔つ釜を持っていきました。僕と奥さんと二人で運んで行ったのを覚えています。そば以外の食べ物は、そのかたの家で用意してくれました。皆さんに喜んでもらえたと思います。15ば

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る