日本ワインの教科書
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第3章産地日本では北海道から九州まで、各地でブドウが栽培されている。主な産地は山梨県、長野県、北海道、山形県だ。大阪新潟県日本海に面した新潟県は日本酒のイメージが強いが、「日本のワイン用ブドウの父」川上善兵衛の故郷であり、日本ワインを語るには欠かせない土地だ。近年は宿泊施設やスパを備えワインツーリズムを満喫できるワイナリーの集合施設「新潟ワインコースト」もできるなど、注目の産地だ。長野県長野県は日本第二のワイン生産県として早くからワイン産業に注力してきた。「信州ワインバレー構想」は広大な長野県を千曲川、桔ききょうがはら梗ヶ原、日本アルプス、天竜川の4つのワインバレーに区分けしたものだ。中でも千曲川ワインバレーの中心ともいえる東とうみ御市では実力派のワイナリーに加え新しいワイナリーも続々と誕生しており、長野ワインのメッカといっても過言ではない。一方、メルロで有名な桔梗ヶ原ワインバレーの中心地は塩尻市で、伝統ある古豪から新進気鋭のワイナリーまでが点在する。長野といえばメルロに加え、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランなど国際品種が有名だが、古くから栽培されているコンコードやナイアガラなどから造られるワインも地元で根強い人気がある点は念頭に置いておくべきだろう。大阪府大阪府の中でも南部はブドウの名産地であり、特にデラウェアが有名である。温暖でワイン用ブドウ作りにはハードルが高い気候でもあるが、熱意溢れるワイナリーが複数存在する。山梨県山梨県は「日本ワイン発祥の地」としてその長いワイン造りの歴史を誇る。一升瓶のワインを湯呑みで飲む文化は、日本にもワインが根づいていることを教えてくれる。山梨の品種といえば甲州だ。ワイナリーによってシンプルでピュアなスタイルからシュール・リーを行ったクリーミーなもの、樽発酵・樽熟成を行ったリッチなスタイル、さらにはスパークリングまで幅広いワインが生み出されている。また、甲州と並んで重要な役割を果たすのがマスカット・ベーリーAで、その生産量は日本一。日本屈指の古豪ひしめく山梨県は日本ワインを知るうえで最初に押さえておきたい産地でもある。66日本のワイン産地

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