新・フードコーディネーター教本2021
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覚)を通して知覚する。また、それまでの食に関する経験がメンタルな部分で影響を及ぼす。おいしさの要素は、嗜好性のほかに次のような多くの要因がある。①化学的要因:食べ物の味や香りの主成分は化学物質である。食品の成分が味覚や臭覚への刺激となって感知される。②物理的要因:食べ物のかたさや弾力性などは力学的性質であり、温度、食感や口ざわりなど(テクスチャー)、外観、音などの影響を受ける。③心理的要因:食べ物のおいしさは、喜怒哀楽の感情や精神的緊張度に左右される。また、食事のときの心理状態は、食べた後の消化、吸収作用にも影響を及ぼす。家族のふれあい、家庭の味は心理的に安定できる。④生理的要因:食欲は食物に対する欲望で「満腹感」や「空腹感」などの生理的変化はもちろん、健康状態、精神状態、食の知識や経験にも左右される。通常食べたいという欲求を起こす動機は、まず「空腹感」が挙げられる。⑤環境的要因:食べ物のおいしさは食べるときの環境(天候、気温、昼夜、明暗、室内装飾、雰囲気などの条件)に影響を受ける。もっとも大切なことは食卓の演出である。⑥食習慣や文化など多くの要因に左右される。食べ物の味は、おもに、舌の表面の乳頭(図1-1)にある味み蕾らいによって感じることができる。味蕾には味細胞(味覚受容器)があり(図1-2)、ここに呈てい味み物質が到達すると味蕾細胞を刺激して脳の味覚中枢に伝達されて味を認識する。味蕾の総数はおよそ9000個と多いが、加齢によって出生時の半数以下に減少するといわれている。味蕾のなかには約50~100個の味細胞がある。味覚神経の舌における分布は一様ではなく、甘味は舌の先端部、酸味と塩味は舌縁部、辛味と苦味は舌根部でもっとも強く感じるとされる。食べ物を食べるときは混合した味を一度に味12(1)おいしさの要素(2)食べ物の味

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