アンドシノワーズ
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STORY036「この前教えたレシピよりもうまいつくり方を考えたから、おいでよ」 そう言われて伺ったレストランの庭に、立派な屋外キッチンができていた。私たちが訪ねるからと、わざわざしつらえてくれたそうだ。ラオス人は総じてシャイで思慮深く、とくに外国人に対しては一歩距離を置くようなところもあるが、一度懐に入ると、明らかに他人と区別してかわいがったり親切にしたりしてくれるところがある。 濁り魚醤をいったん焦がすことで、その独特なにおいや味のイメージをまったく別のうまさに昇華させた豚肉の「ラープ」は、手間がかかるからオーダーごとにつくることがかなわず、彼女のレストランではメニュー化していないという、私たちの味。ラープとはラオスの古典的な和えものの総称(p.055参照)だが、豚肉のそれは「エース」ともいえる。RECIPE - p.039豚肉のラープ8

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