羊料理
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英国・サフォーク州が原産。在来種のノーフォーク・ホーンとサウスダウンとの交配によってつくられた大型の肉用種。頭と四肢は黒い短毛で覆われている。早熟早肥で産肉性に富み、肉は脂肪が少なくて良質の赤身。世界中で肉用の交配種として用いられ、日本ではもっとも飼育頭数が多い。体重は雄100〜135kg、メス70〜100kg。英国のイングランドとスコットランドの境界に位置するチェビオット丘陵が原産地。同地方に在来する山岳種のメスに低地に住む品種のオスを交配してつくられた。牧草などの粗飼料でよく育ち、頑強で山間での放牧に適する。肉質はよいが、成長が遅めで小型。毛はツイードの原料になる。体重はオス70〜80kg、メス50〜60kg。羊の家畜化はイヌに次いで、もっとも古いといわれることもあり、イラク北東部の遺跡では、紀元前11000年の幼い羊の骨が出土している。長らくこれが最古の家畜化の証拠とされてきたが、近年になって家畜化されたものであるかどうかは疑わしいともいわれはじめており、実際のところは、紀元前7000〜6000年前頃、現在のシリア、イラク北部、トルコ南東部にまたがるエリアで家畜化されたのではないかと推定されている。原種はムフロン(Mou■on)、アルガリ(Argali)、ウリアル(Urial)とされ、ほとんどの品種がこれら3種を祖先に持つとされる。品種は世界に3000種ほどあるとも言われ、そのうち家畜として使われているのが約1000種。なかでも特に重要な品種は200種ほど。肉用種、毛用種、乳用種とそれらの兼用種に分かれる。ここでは、日本国内と、国内流通のほとんどを占めるオーストラリアとニュージーランドで飼育されている代表的な品種を紹介する。 ※『別冊専門料理 プロのための肉料理専門書』を一部加筆訂正して、転載資料:国際連合食糧農業機関(FAO)2016年度のデータ、『世界家畜品種事典』(正田陽一監修、東洋書林刊)イラスト:田島浩行英国・サセックス州サウス・ダウンズ丘陵地帯が原産地。小型の在来種サセックスから選抜して育種を重ねてつくられた。丘陵地帯で育つため、体躯は充実して、強健。典型的な肉用タイプで骨は細くて歩留まりがよく、肉質は英国系品種の中でもっともよく、「肉用羊の王」ともいわれる。体重はオス80〜100kg、メス55〜70kg。ニュージーランド原産。メリノにリンカーン、レスター、ロムニマーシュなどの英国長毛種を交配してつくられた毛肉兼用種。非常に温厚でさまざまな気候風土に適応するため、飼育しやすい。かつて日本では羊毛用として数多く飼育していたが、羊毛の輸入量増加にともなって激減した。体重はオス80〜110kg、メス60〜70kg。[ 肉用種 ]サフォーク脂肪が少なく良質の赤身[ 肉用種 ]チェビオット牧草でよく育ち、肉質がよい240[ 肉用種 ]サウスダウン英国系品種でもっとも肉質がよい[ 毛肉兼用種 ]コリデール適応力が高く、飼育しやすい品種について

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