月刊専門料理2018年7月号
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撮影/東谷幸一京料理、ひいては日本料理のさらなる発展を探るこの企画。毎月、研鑽会メンバーがテーマ食材に沿ったオリジナルの料理を紹介するとともに、メンバー全員でそれを試食。テーマ食材とその食材を用いた料理について座談する。今月はコイの前編。5人が調理を担当する。今月のテーマ柴田日本料理研鑽会柴田日本料理研鑽会 村田吉弘(菊乃井)中東久人(美山荘)園部晋吾(山ばな平八茶屋)髙橋義弘(瓢亭)栗栖正博(たん熊北店)荒木稔雄(魚三楼)石川輝宗(天㐂)髙橋拓児(木乃婦)中村元計(相伝京の味なかむら)前編コイ77142*味噌床 粒味噌5kgを煮切ったミリン600ccでのばしたもの*寒天酢 一番だし400cc、淡口醤油50cc、ミリン50cc、千鳥酢50cc、砂糖25g、粉寒天適量を合わせて加熱し、ジュレ状に冷やし固めたもの①コイのウロコをかいて三枚におろし、骨切りをする。薄塩をあて、3時間おく。②①の水分をよくふき取り、味噌床*に漬けて4日間おく。③水ナス1/2個、キュウリ1本、カブ1/2個、オカヒジキ1束を昆布塩水(塩分濃度1.5%)に浸ける。④新タマネギをスライスし、水にさらす。ミョウガとウドをそれぞれ下ゆでし、甘酢に漬ける。白ズイキを下ゆでし、八方地(解説省略)に浸ける。⑤②を適宜に切って串を打ち、バーナーで皮目を中心にあぶる。⑥器に⑤と、水気をきった③、④をバランスよく盛る。寒天酢*と梅肉酢(解説省略)をかけ、花穂ジソ、針ショウガ、せん切りにしたミョウガとオオバを天盛りにする。①コイをのウロコを除いて三枚におろす。皮を引いて上身を薄切りにし、軽く洗ってフード・プロセッサーにかけてまわす。途中塩を加えてさらに撹拌する。アラはだし用に、皮は仕上げ用に取りおく。②①を裏漉しし、昆布だし(解説省略)、浮き粉、すりおろしたナガイモを加えて混ぜ合わせ、真薯地とする。③①のアラに強塩をし、1時間おいてから水洗いする。このアラと硬水、昆布、酒を合わせて火にかけ、だしとする。④皮をむいて適宜に切ったゴボウの芯をくり抜いて管ゴボウとし、下ゆでする。このゆで汁を取りおく。⑤②を丸に取り、火にかけた④のゆで汁にくぐらせて火を入れる。⑥鍋に③のだしとトマトウォーター(解説省略)を合わせて熱する。⑦①で取りおいた皮を一口大に切り、サラダ油でカラリと揚げる。⑧汁気をきった⑤と④をお椀に盛り、⑥の地を張る。⑦、適宜に切った芽ネギを添え、花ユズをのせる。今月の調理担当作者の狙い作者の狙い雑食性の淡水魚・コイ。現在食用とされるのは、マゴイを肉づきよく品種改良したヤマトゴイが主。身質はフナよりも柔らかく、比較的あっさりとしている。鮮度落ちが早いため、活けのまま仕入れて締めるのが原則だ。コイの生臭さを抜くために塩をふって脱水し、味噌漬けにして夏野菜と合わせました。ここに寒天酢やミョウガ、オオバを添えて、さっぱりとしたサラダ仕立てとしています。調理/栗栖正博(たん熊北店)コイの身の真薯を椀種にした吸いものを作りました。吸い地は硬水とコイのアラでとっただしにトマトウォーターを合わせたものです。アクセントに皮の揚げ煎餅を添えています。鯉味噌漬け炙り 夏野菜椀 鯉の真薯調理/荒木稔雄(魚三楼)

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