月刊専門料理2018年7月号
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KEIRESTAURANT——コースはおまかせで昼夜ともに3種ずつ用意しているのですね。フランスを代表する三ツ星店「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」(パリ)のスーシェフを長年務めた後、2011年に独立を果たした小林圭氏。店を構えたのはパリ1区、ルーヴル美術館からもほど近い一等地だ。料理はフランス地方とパリのレストランでの長い修業経験を生かし、食材の質や調理技術にいっさいの妥協を許さない「ガストロノミーの皿」を追求する。 メニューは昼夜ともにおまかせコースのみ。昼は約10皿(58ユーロ)と約15皿(125ユーロ)、夜は約13皿(110ユーロ)と約15皿(150ユーロ)のコースを揃える。この他キャヴィアやトリュフといった高級食材を贅沢に使った199ユーロのコースも別途用意。おまかせコースといえども、ゲストの好みや苦手な食材に応じて料理の内容を調整したり、メインの肉料理だけは3~4種の中から選択ができたりとプリフィクス的な要素も備え、より幅広くゲストの要望に応える。 はい。基本はおまかせですが、メインの肉料理は3~4種の中からお好きなものを1つ選んでもらいます。また、アレルギー食材はもちろん、ゲスト一人ひとりの苦手な食材も必ず確認し、そのつど料理を調整するようにします。おまかせコースというとお客さまに選択の余地が与えられないのが普通ですが、好きじゃないものを食べなくてはいけないのは嫌ですよね。ゲストがどう思うか、ということは常に想像し、可能な限り趣向を凝らします。夜は今回ご紹介した全15皿前後(150ユーロ)のコースが基本で、ボリューム的に自信のないお客さまには13皿前後のコースをおすすめしています。多彩な食材を使いたい、けれど各食材の印象を弱めたくはない。そのせめぎ合いで品数は決めていますね。月や季節ごとにコースの内容を一新することはなく、食材の旬に応じて料理を少しずつ入れ替えていくスタイルです。ただ常に進化していきたいという思いはあり、同じ食材を使うにしても少しでも既存のルセットよりもよい料理が開発できればそちらにシフトするなど、コースも日々変化、成長していきます。コース全体の物理的な量としては   圭 んで1㎏~1・5㎏。カロリーにすると600~700g、ここにワインなどを飲k く1500より多いと胃も疲れ、苦しくなる。今は健康や体型を気にされるお客さまも多いので、らいを目安と考えます。これ小林56パリ1区、ルーヴル美術館から徒歩約10分の距離にある「RESTAURANT KEI」。巨匠、ジェラール・ベッソン氏から引き継いだ店舗は白と淡いグレーで揃えられた、エレガントな内装だ。天井の大きなシャンデリアが空間に華を添える。2018年7月号撮影/武田正彦、水島 優 取材・文/加納雪乃

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