月刊ホテル旅館2017年12月号
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特集これまでのブッフェ料理は洋食か中華が基本で、和食を提供する場合であっても和洋折衷であったり、寿司桶や天ぷら屋台のみ用意するといった定番のものに終始していた。歴史的にホテルの宴会部門は洋食課が担当するもので、一品出しの会席料理を至上とする和食の料理人は消極的だったことがその理由だろう。しかし、かたや朝食においては「和食ブッフェ」が堂々と謳われ、各宿泊施設が差別化のためにしのぎを削っている時代である。ならば昼食や夕食であっても、和食ブッフェの提供は充分可能なはずだ。広い厨房を持ち、多くの料理人とサービススタッフを抱える宿泊施設においてはブッフェは得意ジャンルであり、街場の料理店と差別化できる武器となりうる。またそこで磨かれた技術や経験は、立食パーティの運営にも役立つはずだ。今後海外の賓客を迎える機会がますます多くなる中で、日本らしさを打ち出した和食の立食パーティの需要は増えると思われる。和食に特化すれば、日本の風物や歳時にちなんだ宴出も可能となろう。ただ一つ注意すべき点は、ブッフェしてセルフサービスとイコールではないうこと。計画的な仕込みが必要で、めな料理の補充や器のバッシングなど手を割く営業スタイルであり、そこをとチープなものとなってしまう。その重々踏まえた上で特色を打ち出し、魅る和食ブッフェの提供に成功している事例をここに紹介しよう。日本料理「美浜」は全180席。ブの他にも一品料理、会席のコースさまざまなスタイルで料理を提供個室も備えており、宴会利用も多独自のテーマを掲げて他店と差別化料飲部門の新コンセプト店舗上 常設のブッフェ台前に料理人が並び、天ぷらを揚げ、鉄板でお好み焼きや肉を焼くスタイル。右 30㎏級のマグロを客前でさばくマグロ解体ショー。今年4月から第2、第4火曜日のランチ限定で3ヵ月間実施したところ好評を博し、9月〜翌年1月にも開催を決定。 右下 屋台の寿司コーナー。ブリ漬けや炙りなど、ひと手間かけた寿司種も用意。美しさと楽しさをキーワードに個性的なメニューで差別化和食のブッフェ、料理と演出提案

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