月刊食堂20年8月号
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主力業態『丸亀製麺』の既存店売上げは4月が対前年同月比55・3%、5月が業態はコロナ危機下でも比較的堅調といわれる中で、利用動機が共通する丸亀製麺はやや苦戦しているという印象です。この数字についてどう見ていらっしゃいますか。FFSはコロナ禍でもテイクアウト日本は海外のようにならないだろうと。そう。ところが3月以降は『これは手づくり、できたて、体験。根幹の価値は販売方法がどうあろうと不変やデリバリーの需要増に対応できたのが大きかったと思いますが、丸亀製麺はイートインでこそ真価を発揮する業態であり、売上げもランチに集中しています。本来の『売る力』を出せなかったのが痛かったですね。店の一時休業や、ソーシャルディスタンスを確保するために席数を減らしたことも売上げ低下に直結し、収益悪化を避けられませんでした。メニューも店内製造を柱に『手づくり、できたて』を最大の強みにしてきましたから、テイクアウトも天ぷらを除いてほとんど取り組んでこなかった。それに正直、2月頃まではここまで事態が深刻化するとは思っていませんでしたね。違うぞ』と感じるようになってきた。4月に緊急事態宣言が出てからは、もはやコロナ前の状態には戻らないだろう、と。ライフスタイル自体が変わらざるをえないから、事業もそれに合致5月27日から、テイクアウト販売の対象商品をうどんや丼ものにまで拡げた「丸亀製麺」。㈱トリドールホールディングスの粟田貴也社長によれば、これはコロナ禍における短期的な施策ではなく、長期戦を覚悟した新しい販売方法への挑戦なのだという。デリバリーサービスの新鋭㈱ゴーストレストラン研究所への出資も、きたるべきライフスタイルの大転換を見据えたものだ。ポストコロナの事業構想をどう描くのか、粟田社長に語っていただく。あるいは自戒を込めた外食業の市場観測は、「消費は元には戻らない」という見立てが支配的だ。有事は社会の変化スピードを劇的に早めるといわれるが、「消費が戻らない」とは、日本に暮らす人々の価値観やライフスタイル、ひいては外食に求められる価値が変わる、ということだろう。そこにどうアジャストしていくのか。変化を恐れない力、変われる力が試されるいま、業界リーダーたちのマーケットの読み筋と事業構想を聞く。63・6%。ファストフード(FFS)46旧神戸本社と都内の4拠点を統合する形で2019年9月に開設した東京・渋谷の新オフィス。人材の確保と能力開発、グローバル企業をめざす決意を形にした  ㈱トリドールホールディングス代表取締役社長 粟田貴也氏筋はこれ」

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