月刊食堂19年10月号
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値上げを販促に結びつける巧妙な口実が『返金保証』オプションメニューの工夫はお客さんに気づかれない+200円+200円返金保証するからオプションメニューがあるから外食業界は慢性的なデフレか⬆  ら脱却できずにいます。しかし私からすれば、外食業は値上げがしやすい業種だといえます。なぜなら、消費者の価値判断は往々にして『相場価格』に左右されるからです。消費者は目の前の商品の価格が高いか安いかを見極めようとします。でも、よほどの目利きでない限り、その価格の妥当性は誰にもわかりません。そこで消費者は類似した商品の価格、つまり相場から価格の妥当性を類推しようとします。だからこそ消費者はスーパーマーケットなどで売られているティッシュペーパーなどの相場が知れ渡っです。『品質に満足できなければ代金はいただきません』といって新メニューを試してもらうわけですが、これは『返金を保証できるくらい自信がある商品』ということを暗示しており、価格が高いほうがその効力が増します。店の客層にもよりますが、品質が一定の水準に達していれば、返金を希望されるお客さんはほとんどいません。ただし、返金保証を売りに集客しようとするのは危険です。返金目当てのお客さんが集まってしまう恐れがあるからです。返金保証がひとり歩きしないように注意しましょう。ように値上げをする有効な手段です。オプションとは牛丼の大盛やラーメンのトッピングなどのこと。売れ筋商品のオプションとして高単価なメニューを揃えておけば、その商品を注文したお客さんからより多くのお代をいただけます。『蕎麦と野菜巻き串 じねんじょ庵』の事例は値上げをしたわけではありませんが、従来は本体価格に含まれるそばつゆに付加価値をつけ、プラス200円の単価アップを図っています。既存のハンバーガーの倍額を超える価格に設定。100万食以上を売って返金率はわずか0.2%ロッテリア(ハンバーガーチェーン)絶妙ハンバーガー 390円もりそばのつけだれを13種用意。鴨南蛮などのプラス200円の特製つけ汁4種を揃える自然薯とろろだれ62ロッテリア ハンバーガー 150円※1蕎麦と野菜巻き串じねんじょ庵(そばダイニング/神奈川・青葉台)囲み蕎麦 1人前 480円鴨南蛮値上げの口実』著者痛快解説辻井啓作先生の値上げの口実

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