月刊食堂19年7月号
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2年間で2000万円の大赤字経営の悩みをチェックしてくださいにたくさんの人が集まってきますが、苦しくなった途端に手のひら返しを食らうことはビジネスの世界では常ともいえます。そこで無理してもがいても、逆に借金を増やして倒産してしまうということはよく聞く話です。に陥り、M&Aで倒産を免れた経験者です。そういう状況に陥った事業が順調な時はトップの周りかくいう私も過去に事業で窮地時、事業や会社を売却することで私のように最悪のケースを回避できるかもしれません。M&Aというと成長戦略や事業承継のイメージが強いかもしれませんが、実際には事業救済のスキームとしても活用されています。まずは私自身の実体験をお話しましょう。     私が代表を務める㈱ウィットは2007年11月に外食に特化したM&A仲介事業として創業しました。もともと外食の仕事が好きでこの事業をはじめたこともあり、心のどこかで自分の店を持ちたいという気持ちがありました。そうした時に売却の相談を受けていた給食事業を自ら運営してみようと考えるようになったのです。その会社は大学やオフィスビル内の給食サービスを提供し、外食店というより施設運営に近い店を手がけていました。不採算事業とはいえ、売上高は3億円。自社の今後の成長を考えると私の目には売上げが魅力に映りました。譲渡本業に集中今月のテーマ― 売却の経緯 ―2007年11月外食業に特化したM&A仲介業として三宅宏通氏が㈱ウィット設立2009年⓼月譲渡案件として相談を受けていた給食事業の売却案件を三宅氏が買収2010年⓺月再生計画が思うように進まず、資金繰りが逼迫しはじめる2011年㆕月施設側の意向で唯一の黒字店の撤退が決まり、事業売却を決意2011年10月連帯保証人を解除しないまま、給食事業を外食企業に1円で譲渡2012年⓹月給食事業の運営会社が経営破綻。連帯保証人として3000万円の債務を三宅氏が個人で負う経営不振が続き業績回復の見込みが立たない黒字だが資金繰りが厳しく、そのストレスに耐えられない連帯保証の借入額が大きくなり将来が不安不採算店を手放して経営体質を改善したい事業の将来性が不透明で不安を抱えている強力なライバルが出現して客数が下がりはじめた新規事業に挑戦するための資金を調達したい本業に集中するために外食事業から撤退したいマネジメントに手が回らず事業規模を縮小したい撤退したいが物件の現状回復費用の負担が大きいマネジメントよりも現場に集中したい家庭の事情で経営に集中できない売り手 ㈱ウィット業  種M&A仲介会社譲渡目的不採算事業の撤退買い手 A社業  種外食企業買収目的事業拡大契約内容譲渡年月2011年10月スキーム株式譲渡譲渡金額1円事業内容事務所・学校の給食店  数5店売 上 高3億円営業利益△800万円負  債2500万円90文・山口芳夫 撮影・目 黒-MEGURO.8譲渡契約内容大赤字の給食事業を手放すライン

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