菓子店パン店開業読本
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   8広々とした物件で、明るく、“売れる”店を 2017年7月、神奈川・中央林間に「メゾンジブレー」を開業した江森宏之さん。めざしたのは、郊外の大型繁盛店だ。「当初は都心で物件を探しましたが、広さと家賃の面で希望に合う物件が見つかりませんでした。そこで考えを変え、同世代のパティシエが都心コンパクト型の店をめざすならば、自分は逆を行こうと郊外大型店へ目標を転換。郊外店での勤務経験も長かったので、自分の原風景に戻りました」(江森さん)。場所は、江森さんが住んでいるエリアに近いため土地勘があり、住宅街で平均世帯収入が高く、都心からのアクセスもよい地域として、中央林間を選択。不動産屋から紹介されるテナントはなかなか希望に合わず、地主を紹介してもらって直接交渉し、レストランだった現物件の契約にこぎ着けた。店舗デザインは、数々の郊外型繁盛店を手がけてきた、マグロンデザインの長山博氏に依頼。「北欧調で白を基調に、明るく清潔感のある〝売れる店〟をつくってほしいとお願いしました」。改装にあたって、吹き抜け部分に天井を付けたり、プレハブ冷凍・冷蔵庫を外付けにするなどしたため、予定よりも施工費がかかり、厨房機器にあまりお金を費やせなくなってしまったという。それでも、性能は譲ることなく中古で購入する人気店のシェフパティシエ・グラシエを務め、国内外の数々のコンクールで受賞してきた江森宏之さんが、約2年間のフリーランス活動を経て、ついに自身の店をオープンしました。「たくさんのお客さまでにぎわう大型店が僕の原風景であり、好きなスタイルなんです」と語る江森さん。幅広い年齢層に愛される明るい店づくりで、繁盛店をめざします。オーナーシェフ江森宏之さん1974年栃木県生まれ。神奈川・横浜「ベルグの4月」などを経て渡仏し、「フレッソン」などで2年間修業。帰国し、「ベルグの4月」シェフパティシエ、東京・表参道「グラッシェル」シェフパティシエ・グラシエを経て独立。2015年、イタリア・ミラノでの「The World Trophy of Pastry Ice Cream and Chocolate FIPGC」にて日本チームキャプテンとして優勝するなど、コンクールでの受賞も多数。神奈川県大和市中央林間4-27-18 ☎046-283-0296 営業時間/10時〜19時 定休日/月曜、火曜不定休 givree.tokyo取材・文/瀬戸理恵子 撮影/三佐和隆士江森宏之さんの「メゾン ジブレー」を徹底解剖

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