菓子店パン店開業読本
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パン店をメインにパティスリーやカフェの店舗デザイン・設計・施工を一手に担う㈲東匠の清水建三さん。過去の飲食店の施工事例は約70件。なかには10年以上続く人気店も少なくありません。個人店の開業はなかなか予算を大きく組めませんが、そのなかでいかに〝その店らしさ〟をつくり上げていくのかが、清水さんの腕の見せどころ。デザイナーと2人3脚で進めていく店づくりにおいて、あらかじめ知っておきたいことを清水さんに聞きました。㈲東匠・清水建三さんに聞きましたとなり、1ヵ月くらいお店内や厨房のレイアウト、見積りをセットでお伝えします。厨房機器の業者や内装業者なども、こちらで手配します。具体的には、どうやってデザインを詰めていくのでしょうか?最初の打合せの際には、どんな業態でもいいのでイメージするお店の写真や雑誌など参考になる資料をお持ちいただくようにお願いしています。ほとんどの人は、過去に弊社で手がけたお店を見て、「こんなふうにしたい」と依頼される方が多いですね。こちらからももちろん提案はしますが、明確なイメージのある方が多く、どうしても似たようなお店になってしまうことも(笑)。立地に合わせることはせず、あくまで依頼主の希望と、どんな商品を売るのかをヒアリングして進めていきます。たとえば、直近で手がけた「ハ  ナサクベーカリー」(東京・小平市)を例に説明しましょう。小平市で7年ほど営業されており、移転リニューアルでしたが、店舗規模はから8坪売り場もかなり広くなりました。このお店の場合は、「木を使ったイメージで」というだけでデザインについて強い希望はなく、ほぼ「お任せ」に近いかたちでした。外装に関しては、お持ちいただいた資料の店舗写真が水パン・菓子店を多数手がけていらっしゃいますよね。じつは独立した当時は、住宅のリフォームなどがメインの仕事でした。あるとき、知り合いの設計屋さんから施工だけやってみないか、とお声がけいただき、2軒ほどパン店をやらせていただきました。1人でデザイン、施工まですべてやるようになったのは、そのあとからですね。店づくりは、どのような流れで進んでいくのでしょうか。最初は、弊社のホームページを見て、メールでお問合せいただくことがほとんどです。その後、物件が絞られた段階でご連絡いただき、直接物件を見ながらどんなお店にしたいのか、具体的にお話を伺います。まず確認するのは、物件のハード面。排気や電気容量なども調査し、営業可能な建物かどうかを判断します。物件の状態によっては業態に適さないと判断するケースもあるので、かならず物件契約前の打合せをお願いしています。物件の契約後、実測して図面をおこします。時間をいただき、外装のパース、パンの顔や店名もヒントにイメージをつくり上げる㈲東匠代表取締役㈲東匠設計・デザイン・施工監督・アフターサービスまでを清水さん1人で担うため、施工件数には限りがある。受注エリアは基本的に、関東限定。依頼はホームページの問合せページより受け付ける。tosho2002.wixsite.com/topどんな店にしたいか、参考になる写真や雑誌などを見せて伝えると、イメージを共有しやすい。1963年埼玉県生まれ。玉川大学農学部を卒業後、ゼネコンに13年間勤務。2001年に独立し、㈲東匠を創業。限られた予算内にしっかりと収めたうえでの、堅実でアイデアフルな店づくりを得意としている。140取材・文/笹木理恵 撮影/三佐和隆士、天方晴子、海老原俊之、長瀬ゆかり11坪清水建三さん店舗設計・施工で人気のQAQAQA愛される店をつくるには?限られた予算を最大限に生かして、

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