菓子店パン店開業読本
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初めての開業準備を効率よく進めるためにはどんな点に気をつければよいのでしょうか。自身の開業を「知識不足だったためかなり遠まわりをしてしまった」とふり返る「ラトリエモトゾー」の藤田統三さんに、開業前に知っておきたい“常識”を聞きました。「ラトリエモトゾー」藤田統三さんの場合パティスリー開業に向けて7のりつ越のえな壁ければならない私の場合、最初に担当の税理士さんから「メガバンクをメインにして、信用金庫や地方銀行、日本政策金融公庫の3つから、分散して借りるといい」とアドバイスを受けました。あとから知ったのですが、メインバンクは審査が厳しく、独立開業の融資先としては一般的ではないようですね。でもこのときは言われるがまま、そうするものだと思い込んでしまいました。税理士さんが日本政策金融公庫に話を通してくれるというので、私はメガバンクに行きました。そこで、新規開業者が銀行から融資を受けるには、信用保証協会を通す必要があることを初めて聞きました。信用保証協会とは、信用力のない個人や中小企業が融資を受ける際に、保証人の代理となってくれる機関のこと。協会に保証金を払う必要がありますが、金利が安くなったり、長期の融資や借り入れ枠の増額が可能になるメリットがあります。税理士さんの動きが遅く、日本政策金   融公庫からの返事もないため、次に私は近所の信用金庫に相談に行ってみました。すると、「融資を国だけに絞ってみてはどうですか」とアドバイスをくれたのです。そこで、信用金庫を通して信用保証協会へ申し込みをしながら、新たに事業計画書をつくって日本政策金融公庫へ持っていくと、無事に融資が決まったのです。信用保証協会の審査も通ったので、あらためてメガバンクに行ってみると、今度は「最初に信用保証協会を通した銀行からしか融資は受けられません」と言われる始末。この事実は税理士さんも把握しておらず、メガバンクからの追加融資はあきらめることに。税理士さんが経験不足だったこともありますが、自分で1も資っ金調とも達借はりどやうすすいるの?は?皆さんの成功を祈ってます!開業当時の「ラトリエ モトゾー」の店内。将来的に料理などを提供できるようにカウンターを設えておき、営業が軌道にのってからイートインメニューを増やした。ラトリエ モトゾーオーナーシェフ藤田統三さん1970年大阪府生まれ。2005年より9年間、「ソルレヴァンテ」シェフを務める。イタリア菓子研究家として活動しながら開業準備を進め、16年8月に開業。(関連記事12頁)128取材・文/笹木理恵 撮影/天方晴子、大山裕平

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