新・フードコーディネーター教本2020
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春夏秋冬27長崎の食材を豊富に取り入れた料理を大皿に盛り付けて、銘々皿に取りまわす形式である。 日本には四季がある。しかし、実際にはひとつの季節を初、仲、晩に分け、12の季節を設ける。さらには二十四節せっ気き(表1-2)を定め(もとは中国から伝来したもの)、暦と実際の気候との差を解消するようにした。また、古くからの習わしとして節句がある。これは奈良・平安の時代から宮中で行われた節せち会えがもとになり、徳川幕府によって定められた民間の年中行事である。節会とは1月~11月までの間の節目に天皇の出しゅつ御ぎょのもとに行われた宴会で、のちにすたれるが、江戸時代になって農民や武家に関係のある日を選ん■二十四節気(表1-2)初春立春(りっしゅん)雨水(うすい)啓蟄(けいちつ)春分(しゅんぶん)清明(せいめい)穀雨(こくう)立夏(りっか)小満(しょうまん)芒種(ぼうしゅ)夏至(げし)小暑(しょうしょ)大暑(たいしょ)仲春晩春初夏仲夏晩夏初秋立秋(りっしゅう)処暑(しょしょ)白露(はくろ)秋分(しゅうぶん)寒露(かんろ)霜降(そうこう)立冬(りっとう)小雪(しょうせつ)大雪(たいせつ)冬至(とうじ)小寒(しょうかん)大寒(だいかん)仲秋晩秋初冬仲冬晩冬3. 暦と旬明治5年(1872年)に旧暦(太陰暦)が廃止され、翌年、太陽暦が採用された。しかし、現在でも俳句の季語や日本料理の季節の捉え方は、旧暦に準じるところが大きい。春は立春から立夏の前日まで、夏は立夏から立秋の前日までとなる。このように温帯に位置する日本には、かけがえのない自然とともに移りゆく「季節」がある。日本料理はこの自然、季節を、食材を通して演出する作品といえる。これは供応の食事形式にとどまらず、日本人の食事を考えるときには必須事項である。つまり、西洋料理であれ、和洋折衷料理であれ、食材や調理法、盛付けの器などすべてにおいて配慮すべき点である。

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