M&Aで外食は年商30億円を突破できる
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当時30代だったバリバリの若手経営者も70歳を超えるようになっている。引退して事業を譲ろうにも子供たちはやりたがらない。それでも長年地元で愛されてきたブランドをなんとか残したい。そんな事情から、われわれのようなM&A仲介業に相談に訪れる経営者が増えているといえる。日本の経営者の平均年齢は65歳。これは全産業での平均であり、外食だけのデータは集計されていない。外食は若い経営者も多いことから、もう少し低いだろうが、「生き残っている会社」に限ればそのぶんだけ高齢化が進んでいる。つまり、事業継承は外食産業全体の問題になりつつあるのである。こうしたケースのM&Aは、売り手にとっては確実に事業継承が行なわれるし、新しい血が入ることで企業が活性化され、少しくすんできていたブランドにふたたび輝きをもたらすことにもなりえる。一方、買い手が新興企業の場合、長い歴史を持ち、多くのファンに愛されてきたブランドを手に入れられるわけで、どちらにとってもメリットが大きい。次に、より大きく成長するために大手の傘下に入るという考えかたを持つ経営者が増えてきたこともM&A案件が増加している要因だ。利益が出ていて自分たちでも成長できるが、より確実に、より大きく成長するための手段として、大手の力を借りようというわけである。かつての経営者は競争相手の力を借りることなど考えもしなかったが、近年は経営者同士の仲が競争相手の力を借りて成長するという“大義” 11    第一章 知っておくべきM&Aの基礎知識

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