M&Aで外食は年商30億円を突破できる
17/18

もっとも有効な手段がM&Aなんですね。こう考えるようになったのは、われわれ自身の生い立ちに関係があります。商業施設内でマルチブランドを展開して成長してきたわけですが、私自身は個々の競争力が弱いと感じてきた。いろんな業態を開発できる柔軟性がある一方で、一つひとつの業態に「つくってきた人の匂い」は薄いんですね。でもそれがクリエイト・レストランツ(CR)のオリジンであって、無理に「濃い業態」をつくろうとしても難しい。だったら、それが得意な企業と手を組んだほうが結果としていいものができる。これがそもそもの発想でした。最初のM&A案件として事業譲渡を受けた吉祥は日     TSU」を展開するYUNARIもそうですね。そう本料理の老舗であり、われわれにないオリジンを持っている企業です。その後のイートウォーク、SFPダイニングにしても、トップのカリスマ性やオリジナリティのある業態開発力で伸びてきた。「つけめんTEしたひとつのことに特化して追求するDNAを持った企業をグループとして取り込み、CRの柔軟性をノウハウとして活用する。それによって、個々の企業の力だけでは実現できない成長を可能にしていくというのがグループ連邦経営のめざすところです。M&Aによって新しい成長のステージに立つことができれば、そこで働く社員にとっては活躍の場が広がることになる。実はこれがもっとも重要です。多くの外食企業では、新しいことに取り組んでいるのはトップをはじめ一握りの人で、大半の社員は日々の業務に追われているだけ。それではモチベ―ションは上がりません。成長の機会が少なすぎることが働く人の意欲を下げ、企業成長も阻んでいるわけです。社員にとって成長の機会が増えること。これこそM&Aによって生まれる最大のメリットです。そして、それには考えかたを変えてあげる必要がある。これまでのやりかたにこだわらず、自らの力やノウハウを生かせるよう方向づけすることが大事です。たとえば2015年にグループ化したアールシー・さまざまなDNAを内在するグループに67第二章 実例で学ぶ、外食企業のM&A戦略

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る