フードコーディネーター教本2019
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(1)縄文時代 縄文時代は「自然食時代」であり、土器を使って焼く、炒める、煮るなどの調理を行なっていた。食物も哺乳動物(とくに鹿と猪)や鳥類、昆虫類、魚介類、野草や木の実を食していた。文化第1章…食の歴史と文化と風土第2節………日本料理1………日本料理の歴史一生をかけて知ること。それはフードコーディネーターという職業をめざす人に与えられた特権であり責務でもあるのだ。 現在の日本料理の基礎が輸入されたのは奈良時代である。食事形式だけでなく、思想・宗教を含めて現在に至るまで、その風俗、習慣とともに生活のなかに根づいているものが多い。 平成25年12月には「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコの人類の無形文化遺産に登録され、日本料理を含む、「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」が「和食」として定義された。 その「和食」の特徴として、(1)多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用、(2)バランスがよく、健康的な食生活、(3)自然の美しさの表現、(4)年中行事との関わり、が挙げられている。この特徴を踏まえたうえで、日本古来からの食文化の保護・継承を担うためにも日本料理の歴史や成り立ちを理解することが、フードコーディネーターとして重要な役割となる。 日本料理は「目で食べる料理」といわれるが、これらは単に見るだけの料理ではない。食品の組合せが、色・形ともに優れていること、その盛り付け方にも山水の法則(向こうを高く、手前を低く)など自然に逆らわない料理法であること。さらに包丁の冴えが魚などの味を引き締め、野菜類はそのもち味を生かして調理してあること、これらが五感(視覚・嗅覚・聴覚・触覚・味覚)を満足させる要素となる。 日本料理では、素材と五手法(生物、焼き物、煮物、揚げ物、蒸し物)と、調味料の組合せが五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の味を調和させる。さらに五感によって味覚が複雑化され、食後の満足感につながる。013

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