中華そばNEO
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QAQA ラーメン職人の言葉〜店づくりのヒント〜Japanese Ramen Noodle Lab Q138店主平岡寛視さん1981年兵庫県生まれ。大学卒業後、大手ラーメンチェーンを経て2014年に独立開業。素材重視の味づくりに日々精進している。店名には、日本人のつくる精度の高い一杯を世界に発信したいとの思いを込めた。JRと地下鉄の札幌駅から徒歩5分、札幌時計台至近のビル地階に立地。ラーメン店としては昼のみの営業。店内は瀟洒でモダンなデザインで、18席を配置している。店舗の横には製麺室を併設。「食材を理解し、大切に扱うことが、この仕事に携わる責任」と、日本の醸造文化、食文化、ラーメンの歴史に敬意を払う店主の平岡寛視さん。道産小麦の自家製麺、醤油だれ、鶏スープのすべてに素材の力がみなぎり、調和を成す。渾身一杯にファンが集う。ラーメンの道に進んだ経緯、また、素材への熱い思いを象徴する取り組みの一つである自家製麺についてお聞かせください。ラーメンチェーンで長く働くうちに新店の立ち上げなども経験させてもらったこと、また、ある店の醤油ラーメンとの出合いが大きな刺激になって、この仕事を生涯かけて全うしようと考えるようになりました。自分の店をはじめて以降、素材を学びたいという思いがどんどん膨らんで、生産者や産地を訪ねるようにもなり、当然、北海道の地場の産物である小麦にも強く意識が向くようになりました。また、自家製麺を行うきっかけをくださった先輩と生産者さんがいます。製麺をスタートしてからは、製麺データを毎日欠かさずにとっています。私にとっては日々の生地とのやりとりを記す日記のようなもの。1回1回の製麺は慣れればその場の判断でコントロールできますが、長く蓄積したデータを読み返してみて、あとから気づくこともたくさんあるんです。生地の状態は、粉のロットや天候をはじめ、さまざまな理由で毎日少しずつ変わるので、そのつど粉に触れてコンディションを確認しながら微調整しています。もし仕上がりにブレが生じるとすれば、その原因は一つではなく、複合的なケースが多い。そうしたときに、自分の感覚だけに頼って間違った方向に進んだり、迷路に迷い込んだりしないためにも、初心に立ち返ることと過去のデータは大事なんです。地元や地方の企画やイベントに参加し、それが話題になることも多いですね。そうした活動にはどのようなお考えがありますか?地元を盛り上げたいですし、タイミングが合えば喜んで参加します。地方の出張イベントは、タイミングが合い、明確な目的意識がもてる場合に参加させていただくようにしています。たとえば、足立醸造さん主催のイベントでは、醤油蔵に人を呼び込んでラーメンを食べていただく企画に携わりました。せっかくですから醤油のおいしさ、自分が感動した醤油の味を知ってもらいたい。そして北海道ならではの味も楽しんでもらいたい。そう思うと工夫のしがいがあります。「北海道にも来てくださいね。おいしいものをご用意しています」といった発信もできます。じつは、出張で自分が留守にしている間、店でもチャレンジしていることがあります。信頼するスタッフに全面的に任せるかたちで「裏Q」の名前で営業し、通常営業にはない煮干し系ラーメンを提供しているんです。自分にとってもスタッフにとっても成長につながると考えています。Japanese Ramen Noodle Lab Q

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