中華そばNEO
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主な構成地鶏のうまみを濃厚かつクリアに引き出したスープ、  キレのある醤油だれ、小麦の風味豊かな麺の三重奏81地鶏のスープ 300㎖醤油だれ 31㎖鶏油 24㎖自家製麺 135g店主飯田将太さん 神奈川・湯河原の超人気店「らぁ麺屋 飯田商店」。店主の飯田将太さんは、全国の生産者のもとを訪ね歩き、素材について理解を深めながら独自のラーメンづくりに邁進している。飯田さんが生み出す一杯は、まさに「素材重視」「無化調」を体現したもの。鶏と水のみでつくるスープは濃厚でいてクリア、生揚げ醤油をブレンドしたたれは複雑みとキレを併せもち、自家製の麺は小麦の豊かな風味をアピールしつつ、スープやたれと見事に調和する。何か一つが抜きん出るのではなく、各パーツが高次元でハーモニーを奏でるのが飯田さんのラーメンのもち味だ。 麺に使うのは、北海道産主体の小麦粉、逆浸透膜水、沖縄県産「ぬちまーす」、内モンゴル産のかん水など。「ラーメンにおける麺の役割はじつに大きい」と考える飯田さんにとって、メニューに合わせて麺を変えるのは当然のことで、毎日数種類の麺を仕込む。独自のロジックと緻密な計算のもと、それぞれの麺の配合や製法を決めているが、「数値にとらわれすぎてはダメ。その日の素材の状態、温度や湿度など、麺づくりには多くのことが作用します。五感を研ぎ澄ませて日々仕事に真摯に向き合い、“これだ”という感覚を身につけることがとても大切です」と飯田さんは語る。 多くのファンをとりこにする飯田商店だが、飯田さんのラーメン道は「まだ道半ば」だそう。大いなる探究心を抱え、職人はさらなる高みをめざす。スープに使用するのは、地鶏の丸鶏とガラのみ。丸鶏はうまみが出やすいように適宜にさばいて寸胴鍋へ。スープの調理過程で浮いてくる、うまみたっぷりの油は取り置いて鶏油として使用する。店内奥に製麺室を備え、毎朝、その日に使う分の麺を仕込む。広々とした製麺室には製麺機が鎮座し、職人が麺打ちに集中できる空間になっている。製麺機のローラ̶は直径1尺2寸という大型の特注品。麺に対しても並々ならぬこだわりを感じさせる設備だ。

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