ザ・バーガー
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2014年9月OPEN美大出身、ビストロ勤務など経歴がユニークですが、なぜハンバーガーの道に?ビストロ時代からハンバーガーには興味があって。また、ミシュランなどでラーメン店が評価されているのを見て、独立開業するならひとつの料理に特化するのがよいなと思うようになったんです。そこで、自分がこれまで得たもの、見たものをハンバーガーに落とし込んだらどうだろう、と。もっとも、開業当初はハンバーガー以外のメニューもそれなりに用意していましたが、ハンバーガーにどんどんのめり込んでいき、店も7坪15席と手狭なこともあって、結果的にハンバーガーショップのようになった感じです。夜はベーコンなどをつまみとしても提供していて、クラフトビールなどのアルコールもあるので、バー的な利用をされるお客さまもいます。理想とするハンバーガーについてお聞かせください。当店ではハンバーガーは1000円〜の設定ですが、それでもハンバーガーの一般的なイメージに照らすと決して安くはないと思うんです。だからこそ、価格に説得力をもたらすだけの味であることが大前提。見た目の美しさも大事です。そのうえで、自分がミニマルなものを好むこともあって、無駄をそぎ落としたシンプルな設計で、必要なパーツのすべてにこだわりをもったハンバーガーを東京都豊島区東池袋2-63-15 前田ビル1F ☎03-6914-3718オーナー 長谷川敬洋さん(右) 敬洋さんは1982年埼玉県生まれ。美大卒業後、飲食業界に興味をひかれ、ビストロなどに勤務。その後、「マンチズバーガーシャック」(東京・芝)で修業し、2014年9月に独立開業。弟の雅浩さんも厨房に立つ。長谷川雅浩さんつくっています。制約があるなかでオリジナリティを表現するのは、学生時代に専攻していたデザインと似た部分があって、そこに面白さを感じていますね。重視しているのは、肉々しい味わいによる満足感と、胃にもたれない軽さのある食後感とのバランス。罪悪感のないハンバーガーが理想です(笑)。チェーン店のような大量生産、大量消費のものとは違う、つくり手の想いが詰まった、肉料理としてのハンバーガーの価値を高めていきたいですね。フライパンでパティを焼くなど調理法にもオリジナリティがありますね。肉々しいパティなので、焼き加減はステーキと同様にミディアムレアからミディアムがベスト。グリドルの場合、自分にとっては温度管理が難しく、適度な焼き加減に仕上げにくい。ビストロでの経験もあってフライパンのほうが火力調節がしやすく、肉に適切にアプローチできるんです。肉を上手に扱うコツは、肉の声に耳を傾けること。ジョークに聞こえるかもしれませんが、ほんとうなんです。焼くときはもちろん、パティの仕込みのときもそう。当店ではアメリカ産牛の赤身肉をブロックで仕入れ、脂や筋は徹底的に除去し、切り方も部位ごとに変えていますが、毎日のように肉にふれていると、まるで肉が教えてくれるかのように、どこに脂や筋が隠れているか、どの部位をどう切るべきかが自然とわかるようになるんです。143フレンチの経験やデザインの学びがミニマルなバーガーに詰まっていますNo.18 【ナンバージュウハチ】

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